9月19・20日の絵入本ワークショップXIIで発表させていただきました。初めて外の学会発表としてレベル高すぎると思うぐらいの経験でした。貴重な機会を与えて下さった飯倉先生、佐藤先生や学会運営の関係者様には感謝の気持ちいっぱいです。記念としてこの感想文を書くことにしました。
 コロナの影響で日本語使うさえ久しぶりな感じで、初日の発表では一人目として発表しました。とても緊張していましたが、司会の高木元先生をはじめ、江南和幸先生、津田真弓先生、小林ふみこ先生や浅野秀剛先生、佐藤悟先生から親切なご教示をいただけました。古明地樹さんは板元の視点で絵本の出版を検討し、画題と類版の関係を明らかにしました。後世の作品に大きな影響を与えた絵手本をふんだんに出版した柏原屋について丁寧に画題を調査分析し、すごく意義のある発表だったと思います。佐藤悟先生は三田村本の分析を通じて草双紙史の再構築を試みして、どちらもなるほどと思わせるようなご論でした。特に自分は清信の黒本について調べたことがあり、先行研究の少ない清信草双紙として『女はちの木』のご検討を聞いて、勉強になりました。
 その後杉本欣久先生のご講演を拝聴し、刷り物を通して近世文人の関係を、光琳模様の受容を通して文化の交流を論じる視点は自分にとって斬新でした。
二日目第二部の発表では、亀井森先生、盛田帝子先生と加藤弓枝先生はどちらも限られた資料を徹底的に分析し、さらに大胆な読みを提示する方法を用い、勉強になりました。絵巻の模写も、虫合わせの絵巻も、手紙も資料として既に面白く、更に文人の交流を提示してくれる貴重な証拠でした。本に限らず、さまざまな性格を持つ近世から残った膨大な資料はまさに宝山のようにも感じました。国学には暗いですが、模写の比較は絵師の腕にもつながり、虫合わせの発想自体が初耳で驚きました。また、一見普通の手紙を何通も複製したこともとても興味深かったです。
 第三部では、木場貴俊先生が絵入年代記の検討をきき、学者があまり注目しない通俗な歴史書こそ、日本の民族や国家意識の形成に大きな影響を与えたと思いました。木越俊介先生が名所図会における怪談のあり方を調査し、これも怪談研究として新しい方法ではないかと思いました。同じ日本でも、各地方の実態を明らかにできる手近で最高の一次資料です。井上泰至先生が『絵本太閤記』における清正関係の挿絵の典拠を分析しました。絵は画像で全部拝見できずとても残念で、同じ朝鮮出兵を描いた『絵本大仏桜』との関係についても個人的に気になりました。
 第四部は大島結生さんがイギリスのチャップブックと日本の黄表紙との共通性を指摘し、更に比較を行いました。これもまたまったく知らなかった世界で、感心しました。原田喜子さんが研究した絵本『ドン・キホーテ』の型紙は今年3月でハーバードで拝見したこともあり、前から気になっていましたが、発表を聞いて合羽摺に関する知識を新たに得られました。大和あすかさんと日比谷孟俊先生は同じく工学の視点で絵画を分析したご発表でした。色材の分析を通して、資料の性格や成立時期なども確定できることは大きな意義があると思いました。様々な分野の研究者を繋ぐ絵入本ワークショップの価値の一つではないかとも思いました。
 二日間の懇親会においても、長い間抱えていた疑問について思う存分に先生方に伺うことができて、至福の時間でした(他の方には失礼いたしました(;´・ω・))。コロナの中でこんな機会があるとは全く予想しませんでした。改めて運営の飯倉先生、佐藤先生や懇親会を組織してくださった小林ふみこ先生に感謝申し上げます。
いろんな意味で胸がいっぱいだった二日間でした。今後さらに研究に情熱を注ぎ、精一杯頑張っていこうと思いました。